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Good Morning Yukon : Last night before Carmacks

 

2003年の7月、写真家・宮澤聡は初めてカナダのバンクーバーに降り立った。全長900km、16日間をかけて壮大なYukon Riverを下るために。

cover2.jpg


 Little salmon villageを出発してキャンプ地に向かった! 夕方6時ぐらいだった。まだまだ日は高い! Carmacksに着く前の最後のキャンプ地だ! あと1~2時間もあれば着くだろう。

 ただ、ぼくたちは疲れていた。なんせ今日1日で80kmぐらいは漕ぐことになっていたからである。すでに60kmぐらいは漕いでいた! 肩はパンパン! 腰もお尻も痛い! Yukon riverに合流してからと言うもの川幅がドンと広がってから漕いでいるのに前に進んでいる気がしない! 外から見ればちゃんと進んでいるだろうが、大河の中にいると全然わからない! 川底は全く見えないし、下から変な波紋がゆっくり上がってくる。たまに大きな波紋が、嫌な音を立ててゆっくり消えてゆく。
その波紋を見ていると沼にいる感覚で、それらもスピード感をゆっくりさせている要因のひとつだと思う。

 そんな中、今夜は何食べよう? とかそんなことを考えながらひたすら漕ぐ! ビール飲みたいな~! と思いながらもビールも無いし、ただ、ひたすら漕ぐ!

 しかし、あしたのCarmacksに着けばビールが飲めるのだ! 飲めるはずである!


DSC00170.JPG


 先を急ぎたい気持ちを抑えて今夜のcamp地を探していた! すると1時間半ぐらい過ぎたころ、次の右カーブを過ぎその先の左カーブのあたりにキャンプ地があるらしい。2kmぐらい先だ。ヒロくんが20mぐらい先行していた。ヒロくんに「2km先の左カーブの左側だぞ~!」と叫んで伝えた! そして、左カーブの手前まで来たのだが、キャンプ地がよくわからん! 確かその辺なんだけどな~! と辺りを見渡しながら下っていくと、突然Seijiくんが「あった!そこそこ!上!」と言った。川から2~3m上の崖の上にあった! 木々が邪魔でよく見えなかったのだ。


Paddling on Teslin River.jpg


 ヒロ! 早くよせろ! すぐそこだ! ヒロくんは先行していた分、急激に岸に寄せなければならず「早く! 早く! 寄せろ!!」と叫んだ。ヒロくんが間に合うか微妙なところだ! キャンプ地はちょうどカーブのところで流れが速い! ヒロくんが「どこ? ここ?」と叫ぶ。「そうそう! そこ!!!」

 「間に合うわけね~だろ! もっと早く言えよ!」と言いつつ必死に漕ぐヒロくん! どうだ? 行けるか? どうだ? どうだ?
 「あっあああああ!」
 ヒロくん間に合わず!流されてしまった! ヒロくん残念!

 ぼくたちはなんとか着岸することができた! ヒロくんは行ってしまった。
 Seijiくんとどうする?と話をした。まさかヒロくんが戻ってくることがあればいいんだけど......。無理だよな~? この先のcamp地は、しばらくない!と言うよりかは、たぶんCarmacksまでない! Carmacksまで約40km! ただ、キャンプ地ではないがテントを張れそうなところを探すしかないか? と言う結論に至り、しょうがないから出発しようかとしていたとき、おおっと! ヒロくんが戻ってきた!!!

 岸の木々の枝伝いにつかまりながら戻ってきた! おおおおっ、よく戻ってきたな~! ヒロくんが「おまえら! もっと早く教えろ!」と言ったが、しょうがないだろ、発見しづらい場所だったんだから! とにかく戻ってこれてよかった。


Mid Island Camp.jpg


 そして、ぼくたちはCarmaksに着く前の最後のテントを張り、ごはんを食べ、酒を飲みたいのだが、ぼくとヒロくんは、もう酒が底をついていた。本当は、テントを張ったあとご飯の前にお疲れビールで乾杯! ってしてみたいところだが、2日目ぐらいまでは最初の1本だけお疲れビールを飲んでいた! 3日目以降はビールがなくなり、しばらくお疲れビールをしていなかった。それにましてぼくとヒロくんは、1日目のcampでそれぞれが持ち込んだスコッチの半分を飲み干してしまっていた、そのあと何とか最後まで保たせようとしてセコい感じでちょこっとづつ飲んでいたのだが、とうとう無くなってしまった! やっと半分の行程が、終わる前夜の日にお酒がないなんて信じられない! 頑張って下ってきたのだから、1日の締めには、お酒が飲みたいという衝動に駆られます。仕事もそうで、がんばっていい仕事ができた日の締めには、お酒が飲みたくなるのです。自分へのご褒美というかなんと言うか!


 だから、いやだ! 絶対いやだ! 特にキャンプで飲めないなんて! でも堅実に日程を考えて飲んでいるSeijiくんの分は、十分すぎるぐらい残っていた。そこで、ぼくは、Seijiくんに拝み倒した! お願いします! お酒を分けてください! よろしくお願いします! Carmacksに着いたら、ビール1杯おごります! と拝み倒して分けてもらいました! そしたら、seijiくん「どうせヒロもいるだろう?」とヒロくんにも行き渡り、無事に全員お酒を飲むことができたのです! Seijiくんありがとう! あのときのseijiくんは神様のように思えた!

 そしてぼくたちは、キャンプファイアをデカくしようと、どこまでデカくできるんだ? と、森の奥からたくさん枯れ木を集めてきて燃やす燃やす。火柱が2mぐらいにまでなったろうか? Carmacksに着く前の前夜祭的な感じで燃やしてみた!


Camp Fire.jpg


 燃え盛る火柱の向こうに見える夕焼けは、格別に綺麗に見えた! それは、ぼくにとってYukon river川下り最後の夕日だったです。ここで言うのもなんですが、ぼくは、Carmacksでカヤックを降りることになっていました! どうしても、スケジュールが押さえられなくて、最後のDosonまで行くことができないからです! ヒロとSeijiは、Dosonまで行きます! 本当は、僕ももうちょっと下流まで行けるのですが、途中下車ができるのがCarmacksだけなのです。

 ここまで下ってきて最後まで行けないことが悔しいですが、仕方がありません! とにかく、あしたのCarmacksまで楽しんで下ろうと心に誓いました。




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