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Good Morning Yukon : First night

 

2003年の7月、写真家・宮澤聡は初めてカナダのバンクーバーに降り立った。全長900km、16日間をかけて壮大なYukon Riverを下るために。

th_yukon_cover.jpg


うわぁ~! まじかよ~!
上陸してみると地面、なんか濡れてない? 足がズボって言った!


th_First Camp in Teslin.jpg


そう、ここは本来キャンプを張るところではない! でも基本的には、キャンプなんぞどこで張ってもいいのだが、なるべくならcomfortableなところでキャンプをしたい! とだれしも思うのだが、近くのキャンプサイト(キャンプサイトと言っても釜があったり、テントを張る平らなスペースがあったりするだけ)はすべて取られており、チョイスはここしかなかった。最初上陸したときに、足がずぼっと草を突き抜けて地面に刺さった!

初っぱなから、足が泥だらけで上陸! できれば、人は汚くなりたくはないと思うでしょう? これから10日近くも風呂に入れないと思うとなおさらです。だから、最初のキャンプぐらいは、いい思いをしたかった。でも、そんなことはそのうち気にもしなくなるのです。人間の順応性はすごいですね!

それから、河の上にいるときは、あまり気にしなかったというか、いなかったというか、上陸したら速攻で何かに囲まれたような気がした。それがこれからの旅、すべてに付きまとうことになるとは、思わなかった。これが、yukonの洗礼かと思うほどの凄まじさである! それは、蚊、蚊、蚊、蚊の大群です!

ひえええ~! それもとんでもない数!そしてでかい! でかいと言う文字を本当に大きく書きたいぐらいでかい! ただ、動きは、おそい!簡単に潰せます!
数が多いのでキリがありません。刺されるとカユいというか痛い! とにかく、おれたちは、大急ぎで荷物を引き上げ、それぞれテントを張り、日本から持ってきた蚊取り線香を焚いた!

いちおう、日本で調べて蚊が多いと言う情報は知っていたので、蚊取り線香と虫除けスプレーを持ってきていたけれども、この量は、半端ない!!


th_many Mosquite Coil.jpg


この数では、一カ所、二カ所では、無理だ! ぼくたちは、蚊取り線香で結界を作った。シャツでいると、シャツの上から刺してくる! ジャケットを着てそのほか出ている肌はすべてスプレーを塗った! その結界の中でなんとかなると思っていた。が、しかし、やつらは、結界の隙間から攻撃してくる! 日本の虫除けスプレーでは、歯が立たない!! それで、登場するのが出発前に現地で買った虫除けスプレー! タッタカタッタター! とドラえもんのポケットから出たきたような感動を覚えるのでした! これが効く効く! すごい効く! ただ、これを塗るとゴキブリのようにテカテカになる。確かに効きそうだが、人間も死にそうな予感。

背に腹はかえられず、塗りたくった! 手、足、腕、首そして最後は、顔! 顔がテカテカする! ぼくとseijiは、ちゃんと塗ったのだが、ヒロが顔に塗るのが少なかったことが、このあとヒロくんの身に悲劇が起こるのです! この話のつづきは、このあとすぐ!! とりあえず、お疲れビールを飲みながら、たき火を焚いて夕食の支度。だれかが火を起こし、だれかが水をつくり、だれかが釣りをする。こんな感じで、夕食をこれから、毎晩つくるのである。


th_forest.jpg


ただ、この晩ぼくとヒロは、やってしまった! 気をつけなければならないのに、初夜からぼくとヒロはお酒をしこたま飲んでしまった。忘れてはならないのは、ぼくたちはカヤックに乗っているのです。カヌーでは、ありません! その意味は、荷物がたくさん乗らないことです。だから、お酒は必要ですが、食材の方が優先なので食材を積んだあとに入るところにお酒です。

確か、ビールは、12本ぐらい。そして、ウィスキーがそれぞれ一本ずつ。それを、最低10日間保たせなければなりません。ぼくとヒロは、初日、初カヤックでの初川下りで気分が上がっていたこともあって、ボトルの2/3ほど飲んでしまいました!
まだ初日なのに、残り1/3ボトル!

それを、見ていたseijiはあきれ顔でぼくたちに、あとで分けて! って言ってもあげないよ! って。彼は、いつも冷静なのでノリで進んでしまうぼくたちをたまに冷ややかな目で見ますが、彼みたいな存在がいないと、まともにことが進まないことが多々あるので助かります。

ここで、「夜は更けてゆく」ということばを使いたいのですが、7月のユーコン、夜が来ません! 白夜です! いちおう、暗くはなるのですが、完全に暗くなりません。深夜1時近くに暗くなって深夜3時には、明るくなり始めます。

こんな地球の上の方に来たのは、はじめてなので夜がないことに感動するのだけれど、またそれは、これからたいへんつらい試練のひとつになるのです。


th_July Midnight.jpg


そんなこんなで朝になり、ぼくとseijiは、コーヒーを飲みながら朝ご飯の用意。ヒロくんなかなか起きてきません。ヒロ! メシ食うぞ! と言うと、機嫌悪そうにテントから出てきました。ふと顔を見ると、試合でKOされたボクサーのように両目がおもいっきり腫れている! おれ、なんか目が開かないんだよな~! って。seijiくんは、誰と試合したんだよ? って、おれもそう言いたくなった!


th_shadow.jpg


ふたりでゲラゲラ笑った。そのあと、3人でなにが原因なのか話しあった。が、確証はつかめないけど、たぶん蚊に刺されたんだろう! と。おそるべしユーコンの蚊(結局、2、3日で腫れは引いた)!

しかし、見事に両目が均等に腫れたもんだと関心した。それから、朝ご飯を食べ、荷物をpackして、またteslin に漕ぎだす2日目が始まった。

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